沖縄の民話 2
「美殿、おぬしは、俺が待ったなしに民百姓を手討ちにするような、気短者に見えるか」
「違います、旦那様!旦那様が、どうこうと、滅相もない!
手前は、その御腰の物のことを申しとります。お刀が恐うござります。
大和のお侍さんは、その刀を斬れ斬れとお尻をたたかれとるのとちがいますか」
大和は薩摩のこと。
薩摩の彼方はすべて大大和と呼びました。
美殿は植民地役人の無礼打ちや斬り捨て御免を、的を言い当てています。
「面白いことを申す奴だ。では刀剣を持たぬ琉球には、短期者は居らぬと申すのだな?」
鮫島の言葉はいささか皮肉っぽいです。
「は、さようでございます。琉球の唐手は先手を許しませぬ。意地(怒り)が出たら手を退け、手が出たら意地を退けと教えとります」
と、美殿は胸をはりました。
それは彼の発案ではなく、唐手だけの教訓でもありません。
沖縄の民の気質にまでなった土着の考えで「守礼」の二文字が示す平和の精神です。
美殿の口からすらすら出るのも当然でした。
鮫島はその「意地が出たら・・・」を呪文のように唱えつつ「不滅の言」といい、借金の支払延期は、鮫島の方から「一年待とう、それでいいのかな?」といって辞去しました。
それから数日後、鮫島は公務で鹿児島に帰ることになりました。
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